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ピロリ菌のおはなし ③ 除菌判定検査について

2022年10月3日

前回の『ピロリ菌のおはなし②』では、胃内視鏡検査や除菌治療についてお話しておりますので、そちらも合わせてお読みください。

 

ピロリ菌除菌治療は優れた治療法なのですが、それでも約10%前後の方は一次除菌治療が不成功に終わります。除菌不成功の理由はいくつか考えられますので、またの機会にお話ししたいと思います。

さて、除菌が不成功の場合には再除菌治療(※二次除菌治療)を行う必要がありますので、一次除菌治療によってピロリ菌が完全に除菌されたかどうかを確認することが大切です。

除菌判定は、除菌治療終了10週以降に行い、通常「尿素呼気試験法」という判定方法が用いられます。※保険診療では再除菌は1回のみ認められています。

 

除菌判定検査<尿素呼気試験法>について

【検査方法】

検査薬(13C‐尿素:ユービット錠)を服用して頂き、その前後で息(呼気)を採取します。採取した呼気を調べて、ピロリ菌が完全に除菌されたかどうかを判断します。この検査方法は非常に簡便で精度が高く除菌判定に最も適しています。検査に要する時間は約20分です。

なお、ピロリ抗体検査(採血)は除菌判定に用いることは出来ません。

 

【検査のメカニズム】

ピロリ菌のもつウレアーゼという酵素により、胃内の尿素は二酸化炭素とアンモニアに分解し呼気中に排出されます。13C‐尿素を含んだ検査薬を内服し、服用前後の呼気中の二酸化炭素に含まれる13Cの量を比較することで、ピロリ菌の存在を検出できます。

 

【除菌治療から除菌判定検査までの間隔をあける理由】

ヘリコバクター学会のガイドラインによると、除菌治療後4週間以降に除菌判定検査を実施という記載がありますが、除菌判定を早期に行った場合、除菌判定の偽陰性を認め、その後再陽性化(再燃)することがあります。この偽陰性の原因は除菌薬により菌数が減少し検査の感度が以下となることや、除菌後は菌体が球状菌となり、ウレアーゼ活性を示さず、また生存しているにも関わらず増殖不能な状態となるためと考えられています。

各報告を検討した結果、除菌判定は除菌療法終了後4週間以降、なるべく遅い時期に行うのがよいと考えています。除菌療法終了後から除菌判定までの間隔が長いほど判定精度が高くなるからです。そのため当院では、除菌判定を除菌療法終了後10週以降に行っています。

ピロリ菌のおはなし② 除菌治療とは? 

2022年9月17日

前回の『ピロリ菌のおはなし①』ではピロリ菌と、ピロリ菌が引き起こす胃の病気についてご説明しました。今回は、皆様の関心の高い除菌治療について、当院での治療の流れをお示ししながらお伝えしたいと思います。

 

◆ピロリ菌に感染している人は除菌すべき?  

日本人のピロリ菌感染者の数は約3500万人と言われており、多くの方は自覚症状がないまま暮らしています。

『日本ヘリコバクター学会』のガイドラインでは、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。

除菌療法が必要かどうかは、主治医とよく相談してください。

 

◆除菌治療のながれ

①胃内視鏡検査:胃の中の状態を確認します。

②ピロリ菌の検査:ピロリ菌に感染しているか調べます。血中抗体検査(採血)を行います

 

ピロリ菌がいる場合

 一次除菌療法(7日間)●胃酸分泌を抑える薬●2種の抗菌薬

除菌治療終了後は、一定期間を開けて尿素呼気試験(検査薬を服用し息を採取)を行い除菌判定を行います。

正しく薬を服用すれば、80~90%の方は除菌に成功します。一時除菌療法で除菌ができなかった場合でも、二次除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの場合は除菌が成功すると報告されています。

 

◆胃内視鏡検査は必要なの?

ピロリ菌の検査や除菌治療を保険診療で行うためには、保険制度上、胃内視鏡検査が必須となります。

ピロリ菌は幼少期に感染していることが多いため、検査時にはすでに感染から長い年月が経過しているケースがほとんどです。

そのため、無症状の方でもピロリ菌が産生する毒素により、大半は慢性胃炎(萎縮性胃炎)の所見が認められます。萎縮性胃炎が進行すると、胃がんの発生リスクが非常に高くなってきます。

そのため、ピロリ除菌治療を行う前に胃内視鏡検査を実施しないと、すでに胃がんが存在した場合、それを見逃すことになりかねません。

したがって、日本の医療制度上、ピロリ菌除菌治療前の胃内視鏡検査(6か月以内)は必須とされており、行わない場合は保険適応とはなりません。

 

◆良くあるご質問

Q1 1年前に他院で胃カメラしましたが、ピロリ除菌治療は受けられますか?

A1 6か月以上経過しているので、新たに胃内視鏡検査を受けていただく必要があります。

 

Q2 3か月前に人間ドックで胃カメラを受け、ピロリ菌陽性も指摘されました。除菌治療は受けられますか?

A2 人間ドックの結果を持参していただければ、除菌治療は受けられます。その際胃内視鏡検査やピロリ菌検査の再検は不要です。

 

Q3 人間ドックでピロリ菌陽性を指摘されました。除菌治療は受けられますか?

A3 除菌治療前には胃内視鏡検査(保険診療)が必須です。

 

当院でもピロリ菌の除菌治療を行っております。また、胃内視鏡検査は日本消化器内視鏡学会指導医(専門医)の私が担当致します。

 

次回は、ピロリ菌除菌治療後の除菌判定検査についてお話します。

 

ピロリ菌のおはなし① ピロリ菌とは?

2022年9月15日

胃がんの約90%はピロリ菌が原因であると報告されており、日本は胃がん罹患率およびピロリ菌の感染率が高い国の一つです。日本では2013年(平成25年)にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となったことから、除菌治療を受ける患者さんの数は大幅に増えました。

最近、ピロリ菌の除菌治療についてご質問を受けることが多くなったことからも、皆さんの関心の高さが伺われます。そこで、今回からシリーズ『ピロリ菌のおはなし』と題して、ピロリ菌と除菌治療についてご説明します。

 

◆ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)について

ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせん状の形をした細菌です。

ヘリコバクターの『ヘリコ』は、らせん形(ヘリコイドhelicoid)から命名されており、ヘリコプターの『ヘリコ』と意味は同じです。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍などの病気に深く関わっています。

 

◆ピロリ菌に感染する原因

口を介した感染(経口感染)が大部分です。

乳幼児期に上下水道が十分に発達していなかった世代以前の方で高い感染率となっています。衛生環境が整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下しています。

 

◆ピロリ菌の関係する病気について

ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は自覚症状はありません。

ピロリ菌の感染による炎症が続くと、感染部位が広がって『ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎』になります。このヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』『萎縮性胃炎』を引き起こし、その一部は胃がんに進展します。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんの約80~90%はピロリ菌に感染しています。

 

『萎縮性胃炎』

長い間炎症が続いて、胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態。

 

『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』

胃や十二指腸の粘膜の壁が傷ついて掘られた状態。除菌が成功すると潰瘍の発症ならびに再発を抑えることができます。

 

次回はピロリ菌の除菌治療についてご説明します。

 

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