Sleep Apnea Syndrome睡眠時無呼吸症候群
こんな症状はありませんか?
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に呼吸が止まることや止まりかけることで脳が酸素不足となり、疲れや不眠、集中力の低下、日中の眠気などの症状を引き起こす病気です。気道の通り道が細くなって起こる場合と、脳の呼吸中枢の機能低下による場合があります。
主な症状として、いびきや口呼吸、夜間睡眠中に頻繁に目覚める、朝の頭痛、口の渇き、日中の眠気、倦怠感などが挙げられます。脳の酸素不足や不眠などのストレスにより、高血圧や心筋梗塞・脳梗塞などの生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの発症リスクを高め、日中の眠気による交通事故、職場での事故を起こす確率も高くなります。
治療は、経鼻的気道持続陽圧療法(CPAP)などが行われます。肥満の場合は減量、喫煙者は禁煙することも大切です。
睡眠時無呼吸症候群の原因
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肥満
喉の周りについた脂肪で気道が狭くなります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因となり、BMI、首の太さと有病率は比例するといわれています。
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加齢
年をとるにつれて喉周りの筋力が低下して、舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。閉経後の女性は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の発生率が高くなります。
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顎や喉の形態
下顎が小さい・後ろに引けている、扁桃腺が大きい、軟口蓋が長いなどの顎や喉周囲の形態の特徴により、気道が狭くなります。
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口呼吸
慢性的な鼻炎、鼻詰まりなどがあると気道が狭くなります。また、口呼吸では口腔内の空気圧力が低下して、舌が下がります。
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飲酒
アルコールを摂取すると、筋肉が緩んで気道が狭くなり、舌も喉の奥へと落ち込みやすくなります。
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睡眠薬の服用
筋肉が緩みやすくなり、気道が狭くなって、舌が喉の奥に下がり、気道が塞がりやすくなります。
生活習慣病との関わりも
糖尿病・高血圧などの生活習慣病、心不全などの持病があると、睡眠時無呼吸症候群である頻度が高いことがわかっています。
夜間眠っている間に起こる症状は患者さま自身では気づきにくいため、一度検査を受けることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる方、リスクが高い方には簡易検査を行います。
簡易検査は、自宅で行える検査です。夜間眠るときに、手の指や鼻の下に専用機器を装着して寝ていただきます。睡眠中に記録された呼吸の状態、いびき、酸素飽和度(SpO2)などから睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べます。
睡眠時無呼吸症候群に治療が必要な理由
夜間睡眠中のいびきや無呼吸に患者さま本人が気づかないまま放置していると、無呼吸や低呼吸による低酸素状態により、心臓や血管に負担がかかり続けて心筋梗塞、脳梗塞などの命に関わる病気につながりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群の治療を行うと、心臓などにかかっていた負担が軽減されることで心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクは低くなります。日中の眠気や身体・頭の重だるさ、慢性的な疲労感から解消されて、日中の活動や仕事に集中しやすくなり、生き生きと過ごせるようになるでしょう。
CPAP療法とは
CPAP療法は重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合に選択される治療です。夜間睡眠中に、鼻に装着したマスクから持続的に空気を送り込んで気道を押し広げることで、睡眠時の気道の塞がりを解消します。
CPAP療法を始めたその日から睡眠の質が改善される患者さまがいらっしゃる一方で、装置が気になるなどの理由で慣れるまでに時間がかかる患者さまもいらっしゃいます。
重度の睡眠時無呼吸症候群の患者さまに対してCPAP療法群を継続することで、心血管障害の合併症や死亡率が低くなることが報告されています。(Marin JM et al. Lancet. 2005; 365: 1046-1053)
根本的に睡眠時無呼吸症候群を治す治療ではなく、CPAP療法をやめると気道の塞がりによる症状が出てしまうため、継続して治療を行うことが必要です。