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ピロリ菌のおはなし② 除菌治療とは? 

2022年12月18日

前回の『ピロリ菌のおはなし①』ではピロリ菌と、ピロリ菌が引き起こす胃の病気についてご説明しました。今回は、皆様の関心の高い除菌治療について、当院での治療の流れをお示ししながらお伝えしたいと思います。

 

◆ピロリ菌に感染している人は除菌すべき?  

日本人のピロリ菌感染者の数は約3500万人と言われており、多くの方は自覚症状がないまま暮らしています。

『日本ヘリコバクター学会』のガイドラインでは、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。

除菌療法が必要かどうかは、主治医とよく相談してください。

 

◆除菌治療のながれ

①胃内視鏡検査:胃の中の状態を確認します。

②ピロリ菌の検査:ピロリ菌に感染しているか調べます。血中抗体検査(採血)を行います

 

ピロリ菌がいる場合

 一次除菌療法(7日間)●胃酸分泌を抑える薬●2種の抗菌薬

除菌治療終了後は、一定期間を開けて尿素呼気試験(検査薬を服用し息を採取)を行い除菌判定を行います。

正しく薬を服用すれば、80~90%の方は除菌に成功します。一時除菌療法で除菌ができなかった場合でも、二次除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの場合は除菌が成功すると報告されています。

 

◆胃内視鏡検査は必要なの?

ピロリ菌の検査や除菌治療を保険診療で行うためには、保険制度上、胃内視鏡検査が必須となります。

ピロリ菌は幼少期に感染していることが多いため、検査時にはすでに感染から長い年月が経過しているケースがほとんどです。

そのため、無症状の方でもピロリ菌が産生する毒素により、大半は慢性胃炎(萎縮性胃炎)の所見が認められます。萎縮性胃炎が進行すると、胃がんの発生リスクが非常に高くなってきます。

そのため、ピロリ除菌治療を行う前に胃内視鏡検査を実施しないと、すでに胃がんが存在した場合、それを見逃すことになりかねません。

したがって、日本の医療制度上、ピロリ菌除菌治療前の胃内視鏡検査(6か月以内)は必須とされており、行わない場合は保険適応とはなりません。

 

◆良くあるご質問

Q1 1年前に他院で胃カメラしましたが、ピロリ除菌治療は受けられますか?

A1 6か月以上経過しているので、新たに胃内視鏡検査を受けていただく必要があります。

 

Q2 3か月前に人間ドックで胃カメラを受け、ピロリ菌陽性も指摘されました。除菌治療は受けられますか?

A2 人間ドックの結果を持参していただければ、除菌治療は受けられます。その際胃内視鏡検査やピロリ菌検査の再検は不要です。

 

Q3 人間ドックでピロリ菌陽性を指摘されました。除菌治療は受けられますか?

A3 除菌治療前には胃内視鏡検査(保険診療)が必須です。

 

当院でもピロリ菌の除菌治療を行っております。また、胃内視鏡検査は日本消化器内視鏡学会指導医(専門医)の私が担当致します。

 

次回は、ピロリ菌除菌治療後の除菌判定検査についてお話します。