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『HPVワクチンキャッチアップ接種』の開始期限が1年をきりました

2023年10月30日

HPVワクチンキャッチアップ接種の開始期限が1年をきりました

当院では子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の公費接種(川崎市)をおこなっております。

《対象者》

  • 小学校6年生(11歳~12歳)~高校1年生(15歳~16歳)の女性
  • キャッチアップ接種対象者:1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性

 

子宮頸がんワクチン(以下HPVワクチン)接種機会を逃された方のための「キャッチアップ接種」について、お話したいと思います。1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性(令和5年度は16歳~26歳)が、キャッチアップ接種の対象になります。

子宮頸がんは、HPVワクチン接種と定期的な健診で予防可能な疾患です。

しかしながら、対象年代の方々は医療機関への受診が少ない傾向にあり、医師からの情報発信が届き難いのが現状です。この記事をお読みになったご家族の方は、是非ご本人へのお声がけをお願い致します。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えていることもあり、問題視されているウイルスです。

HPVに感染するとウイルスが自然に排除されることもありますが、そのままとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると、子宮頸がんが発生すると考えられています。子宮頸がんは早期に発見されれば完治が期待できるがんですが、進行した場合には完治が難しくなります。そこで重要になってくるのはワクチンによる予防と定期的な検診です。

HPVワクチンを16歳までに接種すると、最も高い子宮頸がん予防効果が得られますが、それ以上の年齢で接種した場合でも、ある程度の有効性がある事が国内外の研究で示されています。そのため、キャッチアップ接種対象の方は、是非接種をご検討いただきたいと思います。

 

Q1.なぜ、あらためて、接種の機会が設けられるのですか?

A1.HPVワクチンの接種を個別にお勧めする取り組みが差し控えられていた間(※)に、定期接種の対象であった方々の中には、ワクチン接種の機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、あらためて接種の機会が提供されています。

(※接種後に報告された多様な症状等について十分に情報提供できない状況にあったことから、平成25年から5年間の間、接種をお勧めする取り組みが一時的に差し控えられていました。令和3年の専門家の会議で、安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、接種勧奨が再開されました。)

 

Q2.結婚していますが、これからワクチン接種することに意義はありますか?

A2.性経験があればHPVに感染している可能性はあります。しかしながら、既に性経験のある女性はHPVワクチンに含まれているいずれかのHPV型(16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型など)に感染している可能性はあるものの、未感染のHPV型による疾患の予防効果は期待できますので接種することをおすすめします。

特にHPV16、18および45型は、若い女性から比較的多く検出される上に検診では発見されにくく、最も悪性度の高い子宮頸がんである腺がんに関与しています。これら3つのウイルス型に対する予防効果が得られるワクチンによって、この悪性度の高い子宮頸がんの発症を大幅に減らせることが期待できます。

 

<HPV9価ワクチン(シルガード®9)に含まれるHPV型>

 

Q3.接種は1回でいいのですか?何回も通院する時間が取れるか心配です。

A3.HPVワクチンは6か月の間に3回接種します。学校やお仕事等で忙しく通院が大変なのはよくわかります。しかし、がんになって命を落としたり子宮を摘出しなくてはならないこともあるので、将来のご自身のために接種しましょう。

 

キャッチアップ対象者が公費(無料)で接種できるのは、令和7年(2025年)3月末までです。そのため、遅くとも2024年9月までに1回目の接種を終えなくてはなりませんので、早めに接種をお受けください。

接種は事前予約制になります。ご希望の方はお電話で予約をお願い致します。(Web/Line予約不可)📞044-329-1122

 

こちらも併せてご覧ください。

院長ブログ『HPV(子宮頸がん)ワクチン接種について』

もっと知りたい子宮頸がん予防

みちょぱと考えよう!子宮頸がんとSRHRのこと(動画)

 

川崎七福診療所 学術部監修