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健康診断で「コレステロール・中性脂肪が高い」と言われた方へ|脂質異常症と動脈硬化について
2026年7月31日

健康診断等でコレステロールや中性脂肪が高いと言われたとき、最も重要なのは何でしょうか。
その答えは、その異常が将来どのような病気につながる可能性があるのかを理解することです。
コレステロールや中性脂肪の異常が長期間続くと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患を発症する危険性が高まります。
異常を指摘された際には、検査結果が持つ意味を正しく理解することが大切です。
脂質異常症とは
血液中には、コレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)と呼ばれる脂質が含まれています。これらは細胞膜やホルモンの材料、エネルギー源として重要な役割を担っている重要な脂質ですが、バランスが崩れると健康に影響を及ぼします。
脂質異常症とは、
- LDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)が高い
- HDLコレステロール(「善玉コレステロール」)が低い
- 中性脂肪(トリグリセリド)が高い
のいずれか、あるいは複数を認める状態です。
近年では、LDLコレステロールだけでなく、動脈硬化の原因となる脂質全体を反映するnon-HDLコレステロールも、重要な指標として用いられています。
なぜ脂質異常症が問題なのでしょうか
脂質異常症で最も問題となるのは、動脈硬化を進行させることです。
コレステロールや中性脂肪の異常が続くと、血管の内側では動脈硬化が少しずつ進行します。
特に、LDLコレステロールは動脈硬化と深く関係しており、余分なコレステロールが血管の壁に蓄積することで、血管は徐々に狭く、硬くなっていきます。
一方、中性脂肪が高い状態も動脈硬化性疾患の危険因子の一つと考えられており、LDLコレステロールとともに適切な管理が重要です。
動脈硬化が進行すると、血管が突然詰まり、心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞を引き起こすことがあります。また、足の血管では末梢動脈疾患(PAD)の原因となり、歩行時の下肢の痛み(間欠性跛行)や、重症の場合には難治性潰瘍や壊死を生じることがあります。
動脈硬化は調べられるのでしょうか?
動脈硬化は、年齢や生活習慣、他の危険因子などによって進行の程度が異なります。
当院では必要に応じて、ABI(足関節上腕血圧比:足の血圧を測定して動脈硬化の程度を調べる検査)などの検査を行い、動脈硬化の状態を評価しています。
また、高血圧や糖尿病、喫煙歴なども併せて総合的にリスクを判断します。
脂質異常症の原因
脂質異常症の原因は一つではありません。
食べ過ぎや脂肪分の多い食事だけでなく、
- 肥満
- 運動不足
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 加齢
など、さまざまな生活習慣が影響します。
また、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群などの病気が原因となり、コレステロールや中性脂肪が高くなることもあります。そのため、脂質異常を指摘された場合には、背景となる病気が隠れていないかを確認することも大切です。
さらに、生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい家族性高コレステロール血症(FH)という病気もあります。若い頃から動脈硬化が進みやすいため、早期発見と適切な治療が重要です。
女性では、閉経後にコレステロール値が上昇することも少なくありません。女性ホルモン(エストロゲン)には脂質代謝を調節する働きがあり、閉経に伴ってその作用が弱まることで、生活習慣が大きく変わらなくても脂質異常が現れることがあります。
また、中性脂肪が高い方では、肥満や糖尿病に加え、脂肪肝を合併していることも少なくありません。脂肪肝は生活習慣病と深く関係しており、適切な評価と治療が大切です。
脂肪肝については、当院の▶「神奈川県指定 肝臓専門医療機関」の記事で詳しく解説しています。
治療の考え方
健康診断でコレステロールや中性脂肪の異常を指摘された場合でも、治療が必要かどうかは検査値だけで決まるものではありません。
現在の脂質異常症の診療では、LDLコレステロールや中性脂肪の値だけでなく、年齢や性別、高血圧や糖尿病、慢性腎臓病の有無、喫煙歴、家族歴、心筋梗塞や脳梗塞の既往などを総合的に評価し、将来の動脈硬化性疾患の危険性に応じて治療方針を決定します。そのため、同じLDLコレステロール値であっても、治療方針は一人ひとり異なります。
治療の基本となるのは生活習慣の改善です。食事内容の見直し、適度な運動、体重管理、禁煙などは、すべての患者さんに共通して重要な治療の柱となります。一方、動脈硬化性疾患の危険性が高い場合や、管理目標の達成が難しい場合には、生活習慣の改善と並行して早い段階から薬物療法を開始することもあります。
薬物療法の目的は、単に検査値を改善することではなく、動脈硬化の進行を抑え、将来の心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を予防することにあります。また、治療を開始した後も、定期的に外来で経過を確認し、検査値や健康状態の変化に応じて治療内容を調整しながら長期的に管理していくことが大切です。
おわりに
健康診断などで異常を指摘されたとき、本当に大切なのは、検査値そのものではなく、その結果が将来どのような病気につながる可能性があるのかを正しく理解することです。
異常を指摘された際には、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、ぜひ一度当院へご相談ください。患者さん一人ひとりの状態や将来のリスクを総合的に評価し、動脈硬化性疾患を予防するための適切な治療をご提案いたします。
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