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帯状疱疹が治った後も痛い…それは帯状疱疹後神経痛かもしれません

2026年5月25日

「帯状疱疹の発疹は治ったのに、まだ痛みが続いている」
「皮膚はきれいになったのに、服が擦れるだけでピリピリする」

外来診療をしていると、このような症状でお困りの患者さんを多くお見かけします。

これは「帯状疱疹後神経痛(PHN:Postherpetic Neuralgia)」と呼ばれる、帯状疱疹の代表的な後遺症(合併症)のひとつです。

帯状疱疹そのものは改善しても、神経のダメージによって痛みだけが長く残ってしまうことがあります。

今回は、帯状疱疹後神経痛が起こる仕組みや、痛みが続く期間の目安、当院で行っている治療について解説します。


帯状疱疹後神経痛(PHN)とは?

一般的には、帯状疱疹による皮膚症状(水ぶくれや赤み)が治った後も、3か月以上続く痛みを「帯状疱疹後神経痛」と呼びます。

帯状疱疹を発症した方のうち、およそ10〜20%程度が移行するとされており、特に高齢の方では起こりやすいことが知られています。


なぜ皮膚が治っても痛みが残るのでしょうか?

帯状疱疹の急性期には、皮膚の炎症による痛みが起こります。

しかし帯状疱疹後神経痛では、ウイルスによって「神経そのもの」が傷ついてしまっていることが問題になります。

神経がダメージを受けると、実際には刺激がないにもかかわらず、神経が過敏な状態となり、「痛み」の信号を送り続けてしまうことがあります。

そのため、

  • 発疹は治っている
  • 見た目には異常がない

にもかかわらず、痛みだけが長く続いてしまうことがあります。


どのような痛みが起こるのか?

症状の感じ方には個人差がありますが、以下のような痛みがみられます。

  • 針で刺されるような鋭い痛み
  • ヒリヒリ・ジリジリと焼けるような痛み
  • 電気が走るような突然の痛み
  • 衣類の擦れやシャワーなど、軽い刺激でも強く痛む状態(異痛症)

特に、「衣服が触れるだけでも痛い」という異痛症は、日常生活への影響が大きい症状です。

  • 服を着る
  • 横になる
  • シャワーを浴びる

といった日常動作そのものが苦痛になることもあります。


痛みはどのくらい続くのでしょうか?

患者さんから最も多くいただくご質問のひとつが、「いつまで続くのか」という点です。

痛みが続く期間には個人差がありますが、一般的には年齢が高いほど長引きやすい傾向があります。

目安としては、

  • 60歳未満では長期間続くケースは比較的少ない
  • 60代では約1割前後
  • 70歳以上では2〜3割程度

で、3か月以上痛みが残るとされています。

また、

  • 発症時の痛みが強かった方
  • 発疹が広範囲だった方
  • 治療開始が遅れた方

では、神経へのダメージが強く、症状が長引くことがあります。

一部では、1年以上症状が続くケースもあります。


当院で行っている治療について

帯状疱疹後神経痛の治療では、「傷ついた神経をすぐ元通りにする」というよりも、痛みを適切にコントロールし、日常生活を取り戻すことを目標にします。

一般的な頭痛薬や腰痛薬は、炎症や筋肉・関節の痛みに対して使われることが多く、神経由来の痛みには十分な効果を感じにくい場合があります。

そのため、帯状疱疹後神経痛では、「神経の痛み」に合わせた治療が重要になります。

当院では、診療ガイドラインなども参考にしながら、患者さんそれぞれの症状や年齢、体調、生活背景に応じて治療内容を調整しています。

神経の過剰な興奮を抑えるお薬

神経が過敏になっている状態を落ち着かせ、痛みの信号が過剰に伝わるのを抑えるお薬です。

「ビリビリする」「電気が走るように痛む」といった症状に使われます。

痛みを抑える仕組みを助けるお薬

私たちの体には、本来「痛みを和らげる仕組み」が備わっています。

その働きを助けることで、持続する神経の痛みを軽減する治療です。

その他の鎮痛薬を併用することもあります

痛みが強い時期には、必要に応じて他のお薬を組み合わせることもあります。

症状や副作用を確認しながら、無理のない範囲で調整していきます。


治療で大切なのは「少しずつ調整すること」

神経の痛みに使うお薬は、使い始めに眠気やふらつきが出ることがあります。

そのため当院では、少量から開始し、効果や副作用を確認しながら、徐々に調整していくことを大切にしています。


よくあるご質問(FAQ)

Q. 帯状疱疹後神経痛は自然に治りますか?

時間とともに徐々に改善する方も多い一方で、数か月〜1年以上痛みが続く方もいます。

特に高齢の方や、発症時の症状が強かった方では長引くことがあります。


Q. 市販の痛み止めでも改善しますか?

一般的な鎮痛薬で改善する場合もありますが、神経由来の痛みには十分な効果が得られにくいことがあります。

症状が続く場合には、神経の痛みに合わせた治療が必要になることがあります。


Q. 何科を受診すればよいのでしょうか?

内科、皮膚科、ペインクリニックなどで対応されることが多い疾患です。

当院でも診療を行っておりますので、皮膚症状が治った後も痛みが続いている方はお気軽にご相談ください。


まとめ

――「皮膚は治ったのに痛い」は珍しいことではありません――

帯状疱疹後神経痛は、見た目には治っていても、痛みだけが長く残ってしまうことがある疾患です。

「もう治ったはずだから」と我慢を続けてしまう方も少なくありませんが、適切な治療によって、痛みを和らげ、日常生活を送りやすくできる可能性があります。

  • 皮膚症状は治ったのに痛みが残っている
  • 衣類が擦れるだけでもつらい
  • 夜眠れないほど痛む

このような症状がある方は、お一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。

また、50歳以上の方では、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防を目的とした帯状疱疹ワクチン接も重要です。

予防について気になる方も、診察時にお気軽にご相談ください。