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ピロリ菌のおはなし① ピロリ菌とは?

2022年12月18日

胃がんの約90%はピロリ菌が原因であると報告されており、日本は胃がん罹患率およびピロリ菌の感染率が高い国の一つです。日本では2013年(平成25年)にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となったことから、除菌治療を受ける患者さんの数は大幅に増えました。

最近、ピロリ菌の除菌治療についてご質問を受けることが多くなったことからも、皆さんの関心の高さが伺われます。そこで、今回からシリーズ『ピロリ菌のおはなし』と題して、ピロリ菌と除菌治療についてご説明します。

 

◆ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)について

ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせん状の形をした細菌です。

ヘリコバクターの『ヘリコ』は、らせん形(ヘリコイドhelicoid)から命名されており、ヘリコプターの『ヘリコ』と意味は同じです。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍などの病気に深く関わっています。

 

◆ピロリ菌に感染する原因

口を介した感染(経口感染)が大部分です。

乳幼児期に上下水道が十分に発達していなかった世代以前の方で高い感染率となっています。衛生環境が整った現代では、ピロリ菌の感染率は著しく低下しています。

 

◆ピロリ菌の関係する病気について

ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は自覚症状はありません。

ピロリ菌の感染による炎症が続くと、感染部位が広がって『ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎』になります。このヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』『萎縮性胃炎』を引き起こし、その一部は胃がんに進展します。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんの約80~90%はピロリ菌に感染しています。

 

『萎縮性胃炎』

長い間炎症が続いて、胃粘膜の胃酸などを分泌する組織が消失した状態。

 

『胃潰瘍』『十二指腸潰瘍』

胃や十二指腸の粘膜の壁が傷ついて掘られた状態。除菌が成功すると潰瘍の発症ならびに再発を抑えることができます。

 

次回はピロリ菌の除菌治療についてご説明します。