院長ブログDOCTOR BLOG
【川崎市】肺炎球菌ワクチンは65歳で接種を|2026年からの変更点
2026年3月31日
2026年4月から、高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種の内容が変更されます。
65歳での接種機会を確実に活かすことが、将来の肺炎予防においてが重要です。
本記事では、制度変更のポイントとワクチンの考え方について分かりやすく解説します。
高齢者にとって肺炎が問題となる理由
なぜ肺炎球菌ワクチンが必要なのか
肺炎は、高齢者において最も注意すべき感染症の一つです。加齢に伴う免疫機能の低下により、
・入院を要する肺炎の発症
・食事量の低下や体力の消耗
・日常生活動作(ADL)の低下
・その後の生活の質の低下
といった影響を受けることがあります。
また肺炎は、一度の罹患を契機として体力や筋力が大きく低下し、回復に長い時間を要する、あるいは回復が不十分となる場合も少なくありません。
肺炎球菌感染症とは何か
肺炎の原因はさまざまですが、その中でも肺炎球菌は代表的かつ重要な原因菌の一つです。
特に高齢者では、
侵襲性感染症(血液中への菌侵入)
敗血症や髄膜炎といった重篤な病態
に進展することがあり、注意が必要です。
なぜ“発症前の予防”が重要なのか
肺炎は治療可能な疾患ではありますが、「発症後の回復に時間を要し」「身体機能が十分に回復しない場合がある」といった側面があります。そのため、発症してから治療するのではなく、あらかじめ予防することが重要です。
肺炎球菌ワクチンは、このような観点から接種が推奨されています。
2026年4月から定期接種の内容が変わります
令和8年度(2026年4月~)より、高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種において、使用されるワクチンが変更されます。
2026年4月以降は、PCV20(プレベナー20®)が定期接種として用いられます。近年のワクチン開発の進展を踏まえ、本ワクチンが新たに採用されました。
定期接種の対象と自己負担(川崎市)
定期接種の対象となるのは、
👉 接種日時点で65歳の方です。
(※65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前日までが対象期間となります)
また、川崎市における自己負担金は、 5,000円(予定)とされています。
※最新の情報は川崎市の案内をご確認ください。
新しく使われるワクチン「PCV20」とは
<PCV20(プレベナー20®)の位置づけ>
PCV20(プレベナー20®)は、成人の肺炎球菌感染症に対する結合型ワクチンです。効果が長く続き、幅広い血清型をカバーしています。
また、1回の接種で一定の予防効果が期待できる点も特徴です。
従来ワクチン(PPSV23)との違い
従来のPPSV23(ニューモバックス®)は、👉 特に侵襲性感染症や重症例の抑制に重点が置かれてきたワクチンです。
一方でPCV20(プレベナー20®)は、侵襲性感染症に対する予防効果に加え免疫記憶を伴う持続的な感染予防効果を有しており、これらが評価され定期接種に採用されています。
これまでにワクチン接種を受けた方へ
<PPSV23接種歴のある方への対応>
これまでにPPSV23(ニューモバックス®)を接種されている方においては、追加のワクチン接種を検討することが可能です。
当院では、接種歴および個々のリスクを踏まえたうえで、PCV21(キャップバックス®)の接種をおすすめしております。
追加接種としてのPCV21の考え方
<PCV21(キャップバックス®)を推奨する理由>
PCV21(キャップバックス®)は、成人の侵襲性肺炎球菌感染症に対する結合型ワクチンです。効果が長く続き、成人に多い血清型をカバーしています。
このため、👉 PPSV23(ニューモバックス®)により得られた免疫を、より持続的かつ質の高い免疫へと補強する意義が期待されます。

「成人の侵襲性細菌感染症サーベイランスの強化のための研究」:2025〜2027 年度(予定)侵襲性肺炎球菌感染症の2024 年データより(MSD社ホームページより引用)
PCV20とPCV21はどう使い分けるか
<PCV20との関係について>
PCV20(プレベナー20®)は定期接種として採用されている、有効性および安全性が確認されたワクチンであり、
👉 まずは65歳での定期接種として、確実に接種していただくことが基本となります。
👉 この機会を逃すと公費で接種できる機会が限られるため、受け忘れのないようご注意ください。
一方でPCV21(キャップバックス®)は、成人の感染実態により焦点を当てた設計という特徴を持ち、接種歴に応じた追加的選択肢となり得ます。
👉 両者は優劣ではなく、接種歴および目的に応じて位置づけられるワクチンです。
※PPSV23(ニューモバックス®)接種後の追加接種は、1年以上の間隔をあけて行います
院長からのメッセージ
肺炎球菌ワクチンにおいては、単に接種の有無のみならず、適切な時期に、適切なワクチンを選択することが重要です。
とりわけ65歳での定期接種は重要な機会となります。
この機会を逃さず、必要に応じて追加接種も含めた予防を検討していくことが、合理的な感染症対策と考えます。
また、高齢者では、肺炎球菌に加えて、インフルエンザやRSウイルス、帯状疱疹などの感染症予防も重要です。特に帯状疱疹は強い痛みが長く続くことがあり、予防の意義が大きい疾患の一つです。